中世の騒乱と肥大した信仰。少女マルケータの、呪われた恋――

映画『マルケータ・ラザロヴァー』

チェコ映画史上最高傑作、55年の時を経て日本初劇場公開チェコ映画史上最高傑作、55年の時を経て日本初劇場公開
7.2(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開7.2(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

舞台は13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。修道女となることを約束されていた少女マルケータは、領主とは名ばかりの父・ラザルと敵対する盗賊騎士コズリークの息子・ミコラーシュと恋に落ちる。彼女の心とは裏腹に、増大する王権と二つの部族間の衝突は激化していき……。キリスト教と異教、人間と野生、愛と暴力に翻弄される人々を描いた本作は、『アンドレイ・ルブリョフ』(’71年/アンドレイ・タルコフスキー監督)、『七人の侍』(‘54年/黒沢明監督)などと並び評され、1998年にはチェコの映画批評家とジャーナリストを対象にした世論調査で史上最高の映画に選出された。

「過去の出来事をなぞるのではなく、歴史の内側を直感的に捉えたい」という監督の強い執念から、衣装や武器などの小道具を当時と同じ素材・方法で作成し、極寒の山奥で生活しながら548日間にもわたるロケーション撮影を行なった。原作はチェコでは知らぬ者がいないという、ヴラジスラフ・ヴァンチュラによる同名小説。衣装を『アマデウス』でアカデミー賞を受賞したテオドール・ピステック、音楽をヤン・シュヴァンクマイエル作品など多くの映画音楽を手掛けるズデニェク・リシュカが担当し、綿密にして大胆、崇高で獰猛なエネルギーに満ちた「フィルム=オペラ」が完成。55年の時を経てついに日本で初劇場公開となる。

ストーリー
STORY

舞台は13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。
ロハーチェクの領主コズリークは、勇猛な騎士であると同時に残虐な盗賊でもあった。ある凍てつく冬の日、コズリークの息子ミコラーシュとアダムは遠征中の伯爵一行を襲撃し、伯爵の息子クリスティアンを捕虜として捕らえる。王は捕虜奪還とロハーチェク討伐を試み、将軍ピヴォを指揮官とする精鋭部隊を送る。
一方オボジシュテェの領主ラザルは、時にコズリーク一門の獲物を横取りしながらも豊かに暮らしていた。彼にはマルケータという、将来修道女になることを約束されている娘がいた。
ミコラーシュは王に対抗すべく同盟を組むことをラザルに持ちかけるが、ラザルはそれを拒否し王に協力する。ラザル一門に袋叩きにされたミコラーシュは、報復のため娘のマルケータを誘拐し、陵辱する。部族間の争いに巻き込まれ、過酷な状況下におかれたマルケータは次第にミコラーシュを愛し始めるが…

登場人物
CHARACTER

オボジシュテェ

  • マルケータ

    マルケータ

    ラザルの娘。修道女になることを約束されていたが、敵対する部族の息子ミコラーシュに拉致される。ひどい仕打ちを受けながらも次第にミコラーシュを 愛し始める。

  • ラザル

    ラザル

    オボジシュテェの領主。キリスト教徒。ミコラーシュに王に対抗すべく同盟を組むことを求められるがこれを拒否して王側につき、娘を拉致されることになる。

国王側

  • クリスティアン

    クリスティアン

    ザクセンの伯爵の息子で次期ヘナウの司教。ボレスラフに向かう途中ミコラーシュたちに襲撃され捕虜となった。戦いの恐怖、父への忠誠とアレクサンドラへの愛との狭間で発狂する。

  • 伯爵

    伯爵

    クリスチアンの父。ザクセンの伯爵で、王の盟友でもある。 

  • 将軍ピヴォ

    将軍ピヴォ

    国王軍の指揮官で、元ビール職人。伯爵の息子クリスティアン奪還とロハーチェク討伐を王に命じられる。

ロハーチェク

  • ミコラーシュ

    ミコラーシュ

    コズリークの息子。将来コズリークの後を継いで一門のリーダーになることを期待されている。マルケータを拉致し凌辱する。

  • コズリーク

    コズリーク

    ロハーチェクの領主。異教徒。ミコラーシュ、アダム、アレクサンドラを含む8人の息子と9人の娘の父親。

  • アダム

    アダム

    コズリークの息子。跡目を継ぐであろう兄ミコラーシュに対抗している。妹のアレクサンドラと寝たことがあり、その罰として左腕を切り落とされた。

  • アレクサンドラ

    アレクサンドラ

    コズリークの娘。捕虜クリスティアンと恋に落ち彼の子を身ごもるが、発狂した恋人クリスティアンを殺し、捕らえられる。

その他

  • ベルナルド

    ベルナルド

    物語の至る所に登場する修道士。

オボジシュテェ

  • マルケータ

    マルケータ

    ラザルの娘。修道女になることを約束されていたが、敵対する部族の息子ミコラーシュに拉致される。ひどい仕打ちを受けながらも次第にミコラーシュを 愛し始める。

  • ラザル

    ラザル

    オボジシュテェの領主。キリスト教徒。ミコラーシュに王に対抗すべく同盟を組むことを求められるがこれを拒否して王側につき、娘を拉致されることになる。

ロハーチェク

  • ミコラーシュ

    ミコラーシュ

    コズリークの息子。将来コズリークの後を継いで一門のリーダーになることを期待されている。マルケータを拉致し凌辱する。

  • コズリーク

    コズリーク

    ロハーチェクの領主。異教徒。ミコラーシュ、アダム、アレクサンドラを含む8人の息子と9人の娘の父親。

  • アダム

    アダム

    コズリークの息子。跡目を継ぐであろう兄ミコラーシュに対抗している。妹のアレクサンドラと寝たことがあり、その罰として左腕を切り落とされた。

  • アレクサンドラ

    アレクサンドラ

    コズリークの娘。捕虜クリスティアンと恋に落ち彼の子を身ごもるが、発狂した恋人クリスティアンを殺し、捕らえられる。

国王側

  • クリスティアン

    クリスティアン

    ザクセンの伯爵の息子で次期ヘナウの司教。ボレスラフに向かう途中ミコラーシュたちに襲撃され捕虜となった。戦いの恐怖、父への忠誠とアレクサンドラへの愛との狭間で発狂する。

  • 伯爵

    伯爵

    クリスチアンの父。ザクセンの伯爵で、王の盟友でもある。 

  • 将軍ピヴォ

    将軍ピヴォ

    国王軍の指揮官で、元ビール職人。伯爵の息子クリスティアン奪還とロハーチェク討伐を王に命じられる。

その他

  • ベルナルド

    ベルナルド

    物語の至る所に登場する修道士。

スタッフ
STAFF

監督・脚本
監督・脚本

フランチシェク・ヴラーチル
František Vláčil

1924年チェコスロバキア(現チェコ共和国)チェスキー・チェシーン生まれ。 1945年よりブルノの大学で美学と美術史を学ぶ。在学中に映画製作に興味を持ち、ブルノ漫画・人形映画スタジオで脚本家として働く。その後、新しく設立された科学教育映画スタジオにて短編ドキュメンタリー映画の制作に携わる。 1951年からは陸軍の映画スタジオで働き、短編ドキュメンタリーを制作。1958年には初の短編劇映画『ガラスの雲』を監督した。その後、チェコの大スタジオ「バンドラフ・スタジオ」に移り、1960年に初の長編映画『白い鳩』を監督。この作品はカンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で評価され、チェコ・ヌーヴェルバーグの嚆矢と言われている。その後、『悪魔の罠』(‘61年)『マルケータ・ラザロヴァー』(‘67年)『蜂の谷』 (‘67年)の歴史三部作、初のカラー作品『アデライド』(‘69年)を監督し、それぞれ高い評価を得た。「正常化」以降、ヴラーチルは長編映画の製作を許されず、バランドフ・スタジオを去らざるを得なかった。1976年に再び長編映画の製作が許可され『焼きジャガイモの煙』(‘76年)を監督。『暑い夏の影』(‘77年)はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でクリスタルグローブ賞を受賞した。ビロード革命後、これまでのチェコ映画への貢献に対してチェコのアカデミー賞であるチェコ・ライオン賞を受賞し、チェコ映画テレビアカデミーの会長に就任した。1999年死去。

監督・脚本
原作

ヴラジスラフ・ヴァンチュラ
Vladislav Vančura

1891年オーストリア、シレジア(現チェコ共和国)の貴族の家系に生まれた。 1915年よりカレル大学で法律を学ぶもすぐに医学に転向。病院で数カ月間働いた後学位を取得した。1923年に初の短編集を発表、その後も数々の小説、戯曲を発表し高い評価を得た。チェコの前衛芸術家集団「デヴィエチル」の創設メンバーであり、初代会長を務めた。 1931年に代表作『マルケータ・ラザロヴァー』を出版。本作はベストセラーとなり「第一級の革新者」として評価を受け、チェコスロバキアの国家文学賞を受賞した。反ヒトラー運動に参加し 、1942年ナチスによって殺害された。

レビュー
REVIEWS

  • 開始1分足らずでこの映画が定義不可能であることを知る。 「映画の狂詩曲」と言われ、チェコ映画史上最高傑作であると同時に最も困難な作品であるという評価も納得だ。
    ヴラーチルは絶望、欲望、復讐の世界を落ち着かない筆致で描き、カメラは人物、動物、自然の移り変わりを好奇心を持って追う。この物語と忘れ去られた人々が記憶から消えてしまわないように、すべての瞬間、すべての行動、すべての感覚をとらえようとしているのだ。それは親密な叙事詩であり、具体的な幻覚であり、直感のシンフォニーであり、そしておそらく最も影響力のある、美しい残虐性の表現なのだ。
    野心的で、まったくもって独創的だ。

    Slant Magazine

  • 『マルケータ・ラザロヴァー』は、途方もない映画である。
    中世の騒乱と神話、重苦しい観念と肥大した信仰心が入り乱れ、
    「過剰」という言葉の定義を塗り替えたかのような作品である。

    New York Times

  • 計り知れないプロット、「純映画」として驚くほど荒々しくダイナミックだ。
    モノクロのスコープカメラが残酷で荒涼とした風景を映し出し、不気味なサウンドデザインが幻覚のような質感を与えている。これの作品はただの歴史ドラマではない。より神秘的であり野性的だ。まるでいにしえの聖歌のように。

    Time Out

  • これまでに作られた中世を舞台とした映画の中で最も説得力のある映画と言っても過言ではない。この骨太でうっそうとしたジャコウウシのような映画に、誰もが舌を巻くはずだ。

    Village Voice

  • この映画は、物語/空間と時間/映画とは何かという我々の固定観念をねじ曲げる。
    視覚と聴覚の不思議さに身を委ねる時、何が起こるかを再発見させられるのだ。
    アグレッシブでアバンギャルド、実験的な映画だが、決して観念的な映画ではない。
    エネルギッシュに移動するカメラと洗練された編集によって、プリミティブな獣のエネルギーのような、人類の歴史の原初を覗き見るようだ。それは残酷だが生命力に満ち、官能的な喜びを呼び起こす。

    Tom Gunning
    (Criterion onlineより)

劇場情報
THEATER

7.2(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開7.2(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
2022年4月28日現在

関東

地域 劇場 電話番号 公開日
東京都渋谷区 シアター・イメージフォーラム 03-5766-0114 7月2日(土)~
東京都武蔵野市 アップリンク吉祥寺 0422-66-5042 7月15日(金)~
神奈川県横浜市 横浜シネマリン 045-341-3180 近日公開

中部

地域 劇場 電話番号 公開日
愛知県名古屋市 名古屋シネマテーク 052-733-3959 近日公開
静岡県静岡市 静岡シネ・ギャラリー 054-250-0283 8月5日(金)〜

近畿

地域 劇場 電話番号 公開日
大阪府大阪市 シネ・リーブル梅田 06-6440-5930 7月15日(金)~
京都府京都市 アップリンク京都 075-600-7890 7月22日(金)~
兵庫県神戸市 元町映画館 078-366-2636 近日公開
Pagetop